演目一覧 / 滑稽噺
「厩火事」の一場面のイラスト

厩火事

うまやかじ

腕のいい髪結いのお崎は、年下の亭主が昼から酒を飲んで遊んでばかりなのが悩みの種。それでも別れきれず、仲人に相談すると、孔子の故事にならって亭主の本心を試してみろと勧められます。亭主が大事にしている瀬戸物を、目の前で割ってみることになりますが……。

分類
滑稽噺
系統
江戸
別題
厩焼けたり
由来
演題は『論語』にある、厩が焼けたとき孔子が馬より人の身を案じた故事から。原典を中国の笑話集『笑府』とする解説もある
上演時間
八代目桂文楽の口演で約19分
カテゴリ滑稽噺
登場人物髪結いのお崎お崎の亭主仲人
舞台仲人の家お崎の家
見どころお崎の愚痴とのろけ瀬戸物を割る場面

あらすじ

髪結いで稼ぐお崎の亭主は、いわゆる「髪結いの亭主」。仕事もせず、昼間から酒を飲んで遊んでいます。けんかの絶えないお崎は仲人の家へ駆け込み、別れたいと言いながら、亭主の本心がわからないとこぼします。

仲人は二つの話を聞かせます。ひとつは唐土の孔子の話。留守中に厩が焼けて愛馬が死んだのに、孔子は馬のことは問わず、弟子たちにけががないかだけを尋ねた。もうひとつは、瀬戸物を大事にしすぎて人を思わず、家庭をこわしてしまった武家の話です。

亭主が大切にしている瀬戸物をわざと割ってみて、瀬戸物の心配をするか、お前の体を心配するかで身の振り方を決めろ。そう言われたお崎は、家に帰ってさっそく試します。

お崎が瀬戸物を落として割ると、亭主はまず、けがはないかとお崎の体を気づかいました。感激したお崎が、そんなにあたしの体が大事かいと聞くと……

サゲ 結末を含みます

タップしてサゲを見る

「当たりめえよ。お前がけがでもしてみろ、あしたから遊んで酒が飲めねえ」

女房の体を案じたのは、稼ぎ手がいなくなると自分が困るからだった、という逆さのサゲです。孔子の故事を下敷きにしながら、最後に亭主の本音でひっくり返します。お崎の愚痴に、亭主へののろけが混じる語り口が聴きどころです。

仲人が聞かせる二つの話

題の「厩火事」は、仲人が引き合いに出す孔子の故事から来ています。お崎の試しは、二つの話を合わせたものです。

中身お崎への教え
孔子の話厩が焼けて愛馬が死んだが、孔子は弟子の身だけを案じた物より人を思う人こそ信用できる
武家の話瀬戸物を大事にするあまり、人を思わず家庭がこわれた物を人より大事にする人とは添えない
お崎の試し亭主の大事な瀬戸物を目の前で割るどちらの心配をするかで本心を見る

名場面のセリフ 当サイトの書き下ろし

仲人の家で

  • お崎もう今度という今度は別れます。……でもね、あの人、優しいところもあるんですよ。
  • 仲人別れたいのか、のろけに来たのか、どっちなんだい。

瀬戸物を割る

  • (大事な皿を両手で抱え、わざとらしくつまずいてみせる)
  • お崎あっ、あらら、手がすべった。
  • 亭主おい、大丈夫か。けがはねえか。

本心を聞く

  • お崎お前さん、瀬戸物より、あたしのほうが大事なのかい。
  • 亭主決まってるじゃねえか。

特定の落語家の口演を書き起こしたものではありません。筋とサゲは古典のまま、セリフは当サイトで書き下ろしています。

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