演目一覧 / 滑稽噺
「火焔太鼓」の一場面のイラスト

火焔太鼓

かえんだいこ

古道具屋の甚兵衛は、お人よしで商売下手。今日も汚い古太鼓を仕入れてきて、しっかり者の女房に小言を言われます。ところが、小僧が叩いたその音が通りがかりの殿様の耳にとまり、屋敷へ持ってこいと声がかかって……。

分類
滑稽噺
系統
江戸
由来
初代三遊亭遊三から五代目古今亭志ん生に伝わり、志ん生が大きく手を入れた
舞台
古道具屋の店先と、赤井御門守の屋敷
季節
通年
カテゴリ滑稽噺
登場人物道具屋の甚兵衛甚兵衛の女房小僧の定吉殿様の家来
舞台古道具屋大名屋敷
見どころ夫婦の掛け合い値段の駆け引き小判を数える場面

あらすじ

古道具屋の甚兵衛は、正直すぎて儲け話をふいにしてばかりの商売下手。店がつぶれずにすんでいるのは、抜け目のない女房のおかげです。ある日、甚兵衛はほこりだらけの古い太鼓を仕入れてきて、またそんなものをと女房にさんざん言われます。

小僧の定吉が店先で太鼓のほこりを払ううちに、面白がってドンドンと叩き始めました。すると侍が駆け込んできて、いまの太鼓をお屋敷へ持参せよと言います。通りがかった殿様、赤井御門守がその音を気に入ったというのです。女房は、実物を見たら殿様が怒るに決まっている、庭の松の木に縛られるのがおちだと脅かします。

びくびくしながら屋敷へ太鼓を持っていくと、殿様はひと目で気に入りました。火焔太鼓という世にもまれな名品だというのです。値を聞かれた甚兵衛は、さんざん迷った末に三百両で売ることになり、小判を受け取るうちに、途中で数えられなくなるほど泣き出してしまいます。

店へ帰った甚兵衛が小判を積んで見せると、女房もようやく信じて大喜び。二人はすっかり浮かれ、次も音の出るものに限る、それなら火の見やぐらの半鐘を仕入れようと甚兵衛が言い出します……。

サゲ 結末を含みます

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「半鐘はいけないよ、おジャンになるから」

火事が消えたとき半鐘を「ジャン」と一つ打ったことから、物事がだめになることを「おジャンになる」と言います。太鼓を仕入れようとして「バチが当たる」、笛を仕入れようとして「ピーピーになる」とするサゲもあります。

サゲのバリエーション

次に何を仕入れるかで、サゲの地口が変わります。いずれも楽器と言葉をかけた洒落です。

次の仕入れサゲかけている言葉
半鐘おジャンになるから鎮火の合図の半鐘と、だめになる意味の「おジャン」
太鼓バチが当たるよ太鼓のばちと、罰(ばち)
笛またピーピーになる笛の音と、お金がなくて困る「ピーピー」
太鼓(志ん生の正月放送)ドンドンと儲かるから太鼓の音と、どんどん儲かる。めでたい形に変えたもの

名場面のセリフ 当サイトの書き下ろし

夫婦の店先

  • 女房またそんな、すすけた太鼓なんか仕入れてきて。誰が買うんだい、そんなもの。
  • 甚兵衛いや、見る人が見りゃわかるんだよ、こういうのは。
  • 女房見る人が見たから、お前さんが損するんじゃないか。

屋敷にて

  • 家来殿はたいそうお気に召した。して、値はいかほどじゃ。
  • 甚兵衛へ、値でございますか。いや、その、うちの女房がなんと言いますか……。
  • 家来女房に聞かねば値がつけられぬのか。

小判を数える

  • 甚兵衛百五十両……百六十……あれ、どこまで数えたっけ。
  • (小判を手のひらに積みながら、袖で涙をぬぐう)
  • 甚兵衛こんなにたくさんのお金、生まれて初めて触りました。

特定の落語家の口演を書き起こしたものではありません。筋とサゲは古典のまま、セリフは当サイトで書き下ろしています。

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