演目一覧 / 滑稽噺
「青菜」の一場面のイラスト

青菜

あおな

夏の昼下がり、お屋敷で仕事をしていた植木屋は、隠居から冷えた酒と鯉の洗いをごちそうになります。青菜を頼むと奥方が「九郎判官」と答え、隠居は「義経にしておこう」。そのしゃれたやりとりに感心した植木屋は、長屋に帰って女房とまねをしようとしますが……。

分類
滑稽噺
系統
上方から江戸へ。三代目柳家小さんが江戸に移した
季節
夏
原話
安永7年(1778)刊『当世話』の一編
別題
弁慶(明治・大正期の江戸で)
カテゴリ滑稽噺鸚鵡返し
登場人物植木屋お屋敷の隠居と奥方植木屋の女房大工の半公
舞台お屋敷の座敷植木屋の長屋
見どころ夏の涼しげな酒と肴押し入れから出てくる女房

あらすじ

暑い日の午後、お屋敷で仕事をしていた植木屋は、隠居に座敷へ呼ばれ、冷えた柳蔭と鯉の洗いをごちそうになります。口直しに青菜はどうかと聞かれて大好物だと答えると、隠居は手を叩いて奥方を呼びました。

奥方は何も持たずに現れ、「鞍馬から牛若丸が出でまして、名も九郎判官」と言います。隠居は「では義経にしておこう」。菜は食べてしまってないので「菜も食らう(九郎)」、それなら「よしとけ(義経)」という、客の前で恥をかかせないための洒落言葉だったのです。

すっかり感心した植木屋は、長屋に帰って女房に話します。あたしにだってできると言う女房と、遊びに来る大工の半公を相手にやってみることに。ところが狭い長屋には次の間がないので、女房を押し入れに押し込んで待たせます。

やってきた半公に、植木屋はお屋敷の口上をそのまままね、ぬるい酒と鰯の塩焼きでもてなします。嫌いだという青菜を拝み倒して頼ませ、手を叩くと、汗だくの女房が押し入れから転がり出て、「九郎判官義経」まで一息に言ってしまいました。言うことがなくなった植木屋は……

サゲ 結末を含みます

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「うーん……弁慶にしておけ」

女房が義経の名まで先に言ってしまったので、植木屋は義経の家来の弁慶を持ち出すしかなくなった、というサゲです。上品なやりとりを長屋でまねて崩れる「鸚鵡返しの失敗」の代表格で、江戸ではかつて『弁慶』の題でも演じられました。

お屋敷と長屋

前半のお屋敷の場面と、後半の長屋の場面がそっくり対になっているのがこの噺の作りです。同じ段取りがどう崩れていくかを並べました。

お屋敷植木屋の長屋
酒井戸で冷やした柳蔭ぬるい酒
肴鯉の洗い鰯の塩焼き
青菜を勧めると植木屋は大好物と答える半公は嫌いだと言い、拝み倒して頼ませる
奥方の登場次の間から静かに現れる押し入れから汗だくで転がり出る
しめくくり「義経にしておこう」「弁慶にしておけ」

名場面のセリフ 当サイトの書き下ろし

お屋敷の座敷

  • 隠居植木屋さん、ご精が出ますな。ひとつ、冷えたのをやりませんか。
  • 植木屋へえ、こりゃあどうも。……ああ、喉の奥まで涼しくなる。

洒落言葉の種明かし

  • 植木屋旦那、お客さまがおいでなら、あっしはこれで。
  • 隠居いやいや、あれは菜がもうないという内輪の合図でね。
  • 植木屋へえ、ないものをないと言わねえ。お屋敷ってのは大したもんだ。

長屋で再現

  • 植木屋大工さん、ご精が出ますな。
  • 半公精なんか出してねえよ。お前が呼んだんだろう。
  • (両手を打つと、押し入れの襖ががたがたと揺れる)

特定の落語家の口演を書き起こしたものではありません。筋とサゲ、「九郎判官」「義経にしておこう」の決まり文句は古典のまま、ほかのセリフは当サイトで書き下ろしています。

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