演目一覧 / 滑稽噺
「天災」の一場面のイラスト

天災

てんさい

すぐに手が出る長屋の男が、隠居の紹介で心学の先生のもとへ。腹を立てても天には喧嘩を売れない、天のしたことはあきらめよと説かれて、すっかり感心します。帰り道、もめている友達を見つけて、さっそく覚えたての説教を始めますが……。

分類
滑稽噺
系統
江戸
心学
石田梅岩に始まる、町人向けの道徳の教え。先生の名は紅羅坊名丸などと呼ばれる
型
聞きかじりの知識を人に披露して失敗する噺
得意とした演者
六代目春風亭柳橋
カテゴリ滑稽噺
登場人物短気な男隠居心学の先生長屋の友達
舞台心学の先生の家長屋
見どころ先生と乱暴者の問答うろ覚えの受け売り

あらすじ

長屋に、気が短くてすぐ人を殴る男がいました。見かねた隠居が手紙を書き、心学の先生のところへ行かせます。先生はまず格言で諭しますが、男にはまるで通じません。

そこで先生はたとえ話を始めます。小僧に打ち水をかけられたら、屋根の瓦が落ちてきたら、どうするか。男は、小僧も店の主人も殴る、家主も殴ると答えます。では、野原で急な雨に降られたら、天を相手に喧嘩をするのか。これにはさすがの男も、天とは喧嘩できないと答えました。

先生は、天のもたらす災いを天災と呼び、腹の立つことも天のしたことと思ってあきらめるのだと説きます。男はすっかり感心して帰ります。

長屋へ戻ると、友達の家がもめています。女を家に入れたところへ、別れた女房が戻ってきて騒ぎになったというのです。男は覚えたての格言をうろ覚えで並べ、天災と思ってあきらめろと説きますが……

サゲ 結末を含みます

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「なに、うちのは先妻(せんさい)だ」

「天災」と、前の女房をいう「先妻」をかけた地口のサゲです。もめごとのもとが本当に先の女房なので、友達の返事は筋が通っているところがおかしみです。前半の格言を言い間違える場面は、演者ごとに工夫が見られます。

聞きかじりで失敗する噺

教わったことをそのまま人前でやって失敗する筋は、落語の定番の型です。同じ型の噺と並べると、天災の「受け売り」の味わいがよくわかります。

演目教わること
天災心学の先生から、天のしたことはあきらめる心得
道灌隠居から、太田道灌の山吹の歌の話
つる隠居から、鶴という名の由来
子ほめ隠居から、人や赤ん坊のほめ方
青菜お屋敷の隠居夫婦のやりとりを見て覚えた、上品な洒落言葉

名場面のセリフ 当サイトの書き下ろし

たとえ話の問答

  • 先生道を歩いていて、店の小僧に水をかけられたら、どうなさる。
  • 男決まってらあ。小僧をはり倒して、ついでに主人も殴ります。
  • 先生では、野中で急の雨に降られて、ずぶぬれになったら。
  • 男そりゃあ……空を殴るわけにもいかねえ。

天災の教え

  • 先生それが天災です。腹の立つことは、天のしたことと思っておあきらめなさい。
  • 男なるほど。天にゃあ文句の持っていきようがねえや。

長屋で受け売り

  • 男いいか、短気は……なんだっけな。とにかく袋が破れたら縫うんだ。
  • 友達何の話をしてるんだ、お前は。

特定の落語家の口演を書き起こしたものではありません。筋とサゲは古典のまま、セリフは当サイトで書き下ろしています。

主な演者

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