演目一覧 / 滑稽噺
「らくだ」の一場面のイラスト

らくだ

らくだ

長屋の嫌われ者、通称「らくだ」が河豚にあたって死んでいました。弔いを出したいが金のない兄貴分は、通りかかった気の弱い屑屋をおどして使い走りに。ところが酒が入ると、二人の立場がひっくり返って……。

分類
滑稽噺
系統
上方・江戸
本題
駱駝の葬礼(そうれん)
由来
上方の四代目桂文吾が完成させ、大正時代に三代目柳家小さんが東京へ移した
上演時間
通しで1時間近く。屑屋が豹変するあたりで切ることが多い
ゆかり
歌舞伎『眠駱駝物語』(岡鬼太郎脚色、1928)
カテゴリ滑稽噺
登場人物らくだの馬(上方は卯之助)兄貴分屑屋の久六大家八百屋
舞台裏長屋大家の家落合の火屋(上方は千日前)
見どころ死骸のかんかんのう酔った屑屋の豹変

あらすじ

図体が大きくのそのそしているので「らくだ」とあだ名される乱暴者の馬は、家賃も払わず、ツケも踏み倒す長屋の嫌われ者。ある日、兄貴分がたずねてくると、らくだは前の日に食べた河豚にあたって死んでいました。

弔いを出したいが金がない。兄貴分は通りかかった屑屋の久六から商売道具を取り上げ、長屋の月番に香典を集めさせ、大家には通夜の酒と料理を出せと言いに行かせます。断った大家のもとへは、本当にらくだの死骸を担ぎ込み、かんかんのうを踊らせて震え上がらせました。

八百屋から棺桶がわりの漬物樽もせしめ、やっと帰れると思った久六に、兄貴分は無理に酒を飲ませます。ところが酔いが回るにつれて久六の人柄ががらりと変わり、今度は兄貴分を怒鳴りつけて使い走りにします。演者の多くは、このあたりで噺を切ります。

通しの場合、酔った二人は樽を担いで火屋(火葬場)へ向かいますが、途中で底が抜けて死骸を落としてしまいます。引き返して、橋のたもとで寝ていた願人坊主を死骸と取りちがえ、そのまま火の中へ。熱さで目を覚ました坊主が「ここはどこだ」と叫び、「火屋だ」と答えると……。

サゲ 結末を含みます

タップしてサゲを見る

「冷酒(ひや)でもいいから、もう一杯」

火葬場の「火屋(ひや)」を、燗をしない「冷や酒」と聞きちがえたサゲです。七代目立川談志は、坊主の頭にできたこぶを見て「らくだじゃねえか」と返す独自のサゲを作りました。

江戸と上方

もとは上方の噺で、東西で人物名や火屋の場所が違います。上方では、樽を担いで「葬礼や」と練り歩き、店に因縁をつけて金をせしめる件が入ります。

江戸上方
らくだの名馬卯之助
兄貴分手斧目(ちょうなめ)の半次とすることが多い弥猛(やたけた)の熊五郎、脳天の熊五郎
屑屋久六名はなく、ただ紙屑屋
火屋の場所落合千日前

名場面のセリフ 当サイトの書き下ろし

屑屋を呼び止める

  • 兄貴分おう屑屋、ちょいと上がんな。この家のもんを残らず買ってくれ。
  • 久六へえ……。あの、こちら、買えそうなものが何ひとつございませんが。
  • 兄貴分そうかい。じゃあ、おめえの籠と秤はこっちで預かっとくぜ。
  • 久六そ、それがないと商売になりません。

かんかんのう

  • 久六大家さんが、酒も肴も出せないとおっしゃいまして。
  • 兄貴分そうかい。じゃあ背負ってけ。らくだに踊ってもらおうじゃねえか。
  • (死骸の両腕を後ろからつかみ、ぎくしゃくと揺すってみせる)

立場が逆転

  • 久六おい、酒がねえぞ。ぼんやりしてねえで、酒屋へ行ってこい。
  • 兄貴分へ、へい。……おい、さっきまでと人が違うじゃねえか。
  • 久六断られたら、かんかんのうを踊らせるって言いな。

特定の落語家の口演を書き起こしたものではありません。筋とサゲ、「かんかんのう」の趣向は古典のまま、セリフは当サイトで書き下ろしています。

主な演者

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