演目一覧 / 滑稽噺
「ちりとてちん」の一場面のイラスト

ちりとてちん

ちりとてちん

何を出しても「生まれて初めて」と喜ぶ男と、何を出しても「知ってる」と言う男。腐った豆腐を長崎名物に仕立てて、知ったかぶりをこらしめる上方の滑稽噺です。

分類
滑稽噺
系統
江戸の『酢豆腐』を上方向けに改作。東京でもこの題で演じられます
原話
宝暦4年(1754)『軽口豊年遊』巻三「酢豆腐」(宝暦13年『軽口太平楽』とする説も)
季節
夏(豆腐が傷む季節)
ゆかり
2007年のNHK連続テレビ小説の題名にも
登場人物旦那お世辞上手の喜ぃさん知ったかぶりの竹やん
舞台大坂の商家
見どころ腐った豆腐を食べる顔お世辞と知ったかぶりの対比

あらすじ 上方版

旦那の誕生日の祝いに呼ばれた喜ぃさんは、出される料理を口にするたびに「こんなうまいもん、生まれて初めてだす」と大喜び。旦那もすっかり上機嫌です。

話は裏に住む竹やんのことに。何を見せても「そんなもん知ってる」「食べ飽きた」とけなす男で、町内の嫌われ者です。ちょうど台所で、置き忘れて腐った豆腐が見つかります。

旦那と喜ぃさんは、色が変わってかびの生えた豆腐に唐辛子などを足して瓶に詰め、「長崎名物・ちりとてちん」と名づけて竹やんを呼びます。竹やんは案の定「ああ、ちりとてちんか。長崎でよう食べた」と言い張ります。

引っ込みのつかなくなった竹やんは、鼻をつまみ、涙を浮かべながら、腐った豆腐を口に放り込みます。「どんな味や」と聞かれて……。

サゲ 結末を含みます

タップしてサゲを見る

「ちょうど、豆腐の腐ったような味や」

知ったかぶりを通したつもりの一言が、そのまま正体を言い当ててしまうサゲです。江戸版の『酢豆腐』では、気取った若旦那が「酢豆腐は一口に限る」と言って終わります。

『ちりとてちん』と『酢豆腐』

同じ筋の噺が東西で別の名前で残っています。江戸の『酢豆腐』を、初代柳家小はんが上方向けに作り直したのが『ちりとてちん』とされます。知ったかぶりや通人ぶる人を指す「酢豆腐」という言葉は、この噺から生まれました。

ちりとてちん(上方)酢豆腐(江戸)
こらしめられる人何でも知ってると言う竹やん通人ぶる気取った若旦那
仕掛ける人旦那と喜ぃさん町内の若い衆
腐った豆腐の名前長崎名物「ちりとてちん」若旦那が自分で「酢豆腐」と名づける
サゲ「豆腐の腐ったような味や」「酢豆腐は一口に限る」

名場面のセリフ 当サイトの書き下ろし

お世辞上手の喜ぃさん

  • 旦那鯛のお造りや。遠慮せんと食べてや。
  • 喜ぃさんうわっ、こんなうまいもん、生まれて初めてだす。
  • 旦那あんた、うちへ来るたんびに、それ言うてるがな。

長崎名物ちりとてちん

  • 旦那竹やん、これ知ってるか。長崎の名物で、ちりとてちんいうねん。
  • 竹やんちりとてちん? ああ、知ってる知ってる。向こうにおったころは毎朝食べとった。
  • (瓶のふたを取ったとたん、顔をそむけて鼻をつまむ)
  • 竹やん……この、鼻にツンとくるのが、本場の証拠や。

サゲ

  • 旦那どや。どんな味や。
  • 竹やん……ちょうど、豆腐の腐ったような味や。

特定の落語家の口演を書き起こしたものではありません。筋とサゲは古典のまま、大阪ことばのセリフは当サイトで書き下ろしています。

主な演者

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