演目一覧 / 滑稽噺・前座噺
「子ほめ」の一場面のイラスト

子ほめ

こほめ

ただで酒を飲みたい男が、隠居から人のほめ方を教わります。年を聞いて若く見えると言えば喜ばれる、赤ん坊ならこうほめる。さっそく町へ出て試しますが、どこでやってもちぐはぐ。最後は生まれたばかりの赤ん坊の年をほめることになります。

分類
滑稽噺・前座噺
系統
上方から江戸へ。三代目三遊亭圓馬が江戸に持ち込んだ
別題
赤子褒め、年ほめ。『子褒め』とも書く
原話
安楽庵策伝『醒睡笑』(1628)の「鈍副子」
直接の原話
十返舎一九『商内上手』(1804)の「ゆき過」
カテゴリ滑稽噺前座噺
登場人物八五郎隠居伊勢屋の番頭竹とその赤ん坊
舞台隠居の家町なか竹の家
見どころ教わったほめ言葉の言い損ない赤ん坊とのやりとり

あらすじ 江戸版

八五郎が隠居の家に来て、酒を飲ませろとねだります。隠居は、人にごちそうになりたいならお世辞のひとつも言えなくてはいけない、相手の年を聞いて若く見えるとほめれば喜ばれると教えます。

仲間の竹に赤ん坊が生まれたと聞いた八五郎は、祝いに行けば一杯ありつけると考え、赤ん坊のほめ方も教わります。さっそく町で顔見知りの伊勢屋の番頭をつかまえてほめにかかりますが、話がとんちんかんになって、酒にはありつけません。

今度は竹の家へ。ところが赤ん坊を前にすると、教わったほめ言葉がまるで出てきません。困った八五郎は最後の手段で赤ん坊の年を聞きます。竹が、数えで一つだと答えると……

サゲ 結末を含みます

タップしてサゲを見る

「一つにしちゃあ、たいそうお若い。どう見てもただ(タダ)だ」

教わった「年より若く見える」のほめ方を、一つの赤ん坊にまで当てはめた失敗のサゲです。上方版では、今朝生まれたと聞いて「あさってくらいに見える」と返す形があり、数え年がなじみの薄くなった今に合わせた工夫とされます。

江戸版と上方版

もとは上方の噺です。上方にも型が二つあり、桂米朝の系統は「あさって」のサゲ、三代目桂春団治は江戸と同じサゲを使いました。

江戸版上方版
主人公八五郎アホの男
ことの起こり隠居に酒をねだる「灘の酒」を「ただの酒」と聞き違える
竹の家で赤ん坊をほめようとしてしどろもどろ奥で昼寝している爺さんをほめてしまう場面もある
赤ん坊の年数えで一つ今朝生まれたところ
サゲどう見てもただどう見てもあさってくらい(米朝の系統)

名場面のセリフ 当サイトの書き下ろし

隠居の家で

  • 隠居四十五と言われたら、厄そこそこに見えますと言う。たいていの人は喜ぶよ。
  • 八五郎なるほど、年を若く言やあいいんだ。こいつは簡単だ。

伊勢屋の番頭をつかまえる

  • 八五郎番頭さん、お前さん、おいくつで。
  • 番頭四十でございますが。
  • 八五郎……四十か。困ったな、四十五なら言うことがあったんだが。

竹の家で

  • (布団の上の赤ん坊をのぞき込み、しばらく首をひねる)
  • 八五郎こりゃあ……ええと……小さいね。
  • 竹生まれたてなんだから当たりめえだ。

特定の落語家の口演を書き起こしたものではありません。筋とサゲは古典のまま、セリフは当サイトで書き下ろしています。

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