演目一覧 / 滑稽噺・廓噺
「居残り佐平次」の一場面のイラスト

居残り佐平次

いのこりさへいじ

長屋の仲間を誘って品川の遊郭で遊んだ佐平次は、ひとりだけ店に残ります。勘定を迫られても平気な顔で布団部屋に入り、やがて勝手に座敷へ出て客の機嫌をとりはじめます。店はとうとう、金を払ってでも出ていってもらいたくなります。

分類
滑稽噺・廓噺
系統
江戸
作者
初代春風亭柳枝の作といわれる
別題
居残り、おこわ
舞台
東海道の宿場、品川の遊郭
ゆかり
映画『幕末太陽傳』(1957)の下敷き。1940年には禁演落語のひとつにされた
カテゴリ滑稽噺廓噺
登場人物佐平次長屋の仲間店の若い衆店の主人座敷の客
舞台品川の遊郭布団部屋
見どころまるで悪びれない佐平次居残りが座敷を盛り上げるおかしさ

あらすじ

長屋の佐平次が、仲間に品川へ遊びに行こうと声をかけます。誰にもそんな金はありませんが、佐平次は気にするなと言うばかり。一同は飲めや歌えで遊んで一泊し、翌朝、佐平次は自分はもう少し残ると言って、仲間を先に帰してしまいます。

勘定を求める店の者に、佐平次は仲間が金を持ってくるとはぐらかし、ひとりで遊び続けます。何日かたって問い詰められると、金はない、仲間も来ないとけろりと白状。店じゅうが騒ぐなか、自分から布団部屋に入って居残りになります。

夜になって店が忙しくなると、佐平次は布団部屋を抜け出し、勝手に客の座敷へ上がりこみます。軽い口と玄人はだしの芸で客を喜ばせ、祝儀までもらうようになり、そのうち客のほうから、あの居残りを呼んでくれと声がかかる始末です。

祝儀を取られる形になった若い衆たちは、勘定はいらないから追い出してくれと主人に訴えます。主人が帰れと言っても佐平次はなかなか腰を上げず、金に煙草までせしめてようやく店を出ます。後をつけた若い衆に、自分は居残りを商売にしている居残り佐平次だと名乗り、主人をお人好しだと笑って去っていきます。話を聞いた主人はかんかんに怒り……。

サゲ 結末を含みます

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「旦那の頭がごま塩ですから」

主人の「おこわにかけやがった」(だましやがった)に、若い衆がこう返します。「おこわ」は人をだます意味の「お恐」と、もち米を蒸した強飯をかけたもの。強飯にはごま塩をかけるので、白髪まじりの主人の頭を「ごま塩」と言って落としています。「おこわにかける」が今では通じにくいため、先にサゲの意味を説明してから演じたり、サゲそのものを変えたりする演者もいます。

噺のなかの言葉

廓の仕組みや古い言い回しがわかると、佐平次の図々しさとサゲのおかしさがよりはっきりします。

言葉意味
居残り遊郭で代金が払えないとき、誰かが払いに来るまで店に留め置かれること。行灯部屋や布団部屋に入れられるのがふつうでした
若い衆店で客をもてなす男の奉公人。座敷を盛り上げて祝儀をもらうのも仕事のうちでした
幇間座敷で芸を見せ、客の機嫌をとる男の芸人。佐平次はその役を勝手に買って出ます
おこわにかける人をだます、計略にかけること
ごま塩頭黒髪に白髪がまじった頭

名場面のセリフ 当サイトの書き下ろし

もう一晩

  • 佐平次みんな、先に帰ってくんな。おれはもう一晩、ここでゆっくりしていく。
  • 仲間いいのかい、勘定は。
  • 佐平次いいからいいから。おれに任せとけって。

布団部屋へ

  • 若い衆あの、お連れさんはいつお金をお持ちに……。
  • 佐平次来ないよ。金もない。
  • 若い衆えっ。
  • 佐平次居残りってやつだろ。布団部屋はどっちだい。自分で行くからいいよ。

座敷の居残り

  • 佐平次へい、ごめんなすって。おや旦那、いい男だねえ。女の子が放っときませんよ。
  • 客なんだ、お前は。店の者か。
  • 佐平次いえ、居残りでございます。
  • (扇子を開いてひらひらさせ、調子よく一節うなってみせる)

特定の落語家の口演を書き起こしたものではありません。筋とサゲは古典のまま、セリフは当サイトで書き下ろしています。

主な演者

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