演目一覧 / 滑稽噺
「長屋の花見」の一場面のイラスト

長屋の花見

ながやのはなみ

家賃もろくに払えない貧乏長屋の店子たちが、大家に呼び出されます。てっきり店賃の催促かと思いきや、みんなで花見に行こうというお誘い。酒も肴も大家持ちと聞いて大喜びしますが、ふたを開けてみると、酒はお茶、かまぼこは大根、卵焼きは沢庵で……。

分類
滑稽噺
系統
上方の「貧乏花見」を、三代目蝶花楼馬楽が東京に伝えた
季節
春(花見どき)
舞台
貧乏長屋から上野の山へ
サゲ
演者によっていくつもの形がある
登場人物大家長屋の店子たち
舞台貧乏長屋上野の山の花見
見どころお茶けで酔ったふり大根のかまぼこ、沢庵の卵焼き店子たちのぼやき

あらすじ

大家から呼び出しがかかり、長屋の連中は店賃の催促だろうと戦々恐々。ところが大家は、みんなで上野へ花見に行こうと言い出します。酒も肴もこちらで用意したと聞いて、一同は大喜びです。

ところが一升瓶の中身は、番茶を薄めた「お茶け」。重箱のかまぼこは大根の輪切りで、卵焼きは黄色い沢庵でした。

上野の山に着くと、大家は「花見に来たんだから陽気にやれ」と、酔ったふりを命じます。店子たちは、お茶けをすすっては顔をしかめ、大根をかじっては「このかまぼこは歯ごたえがいい」と、やけっぱちのお世辞を並べます。

大家に言われて、ひとりが渋々と酔っぱらいの真似を始めます。湯飲みをのぞき込んでいた店子が、大家に向かって……。

サゲ 結末を含みます

タップしてサゲを見る

「大家さん、近々長屋にいいことがありますよ。酒柱が立ちました」

湯飲みに茶柱が立つと縁起がいい、という言い伝えを「酒柱」にもじったサゲです。中身がお茶だからこそ立つ、という皮肉になっています。ほかにも、川柳を引いて「長屋中歯を食いしばる花見かな」で結ぶ形など、演者ごとにいろいろな終わり方があります。

長屋の花見と貧乏花見

もとは上方の「貧乏花見」で、三代目蝶花楼馬楽が東京へ移しました。東西で、花見を言い出すのが誰かが大きく違います。

長屋の花見(江戸)貧乏花見(上方)
言い出すのは大家が店子を集めて誘う長屋の連中が自分たちで思い立つ。大家は出てこない
代用品酒も肴も大家が用意する食べ物から着物、敷物まで、みんなが持ち寄りで見立てる
味わい大家と店子のやりとりの滑稽貧乏暮らしの生活感が強い

名場面のセリフ 当サイトの書き下ろし

大家の呼び出し

  • 店子おい、大家が呼んでるってよ。店賃のことだぜ、きっと。
  • 店子おれなんざ、越してきてから一度も払ってねえ。
  • 店子上には上がいるもんだ。おれは店賃てものを、見たこともねえ。

重箱の中身

  • 大家さあ遠慮なくやっとくれ。卵焼きもかまぼこもあるよ。
  • 店子大家さん、この卵焼き、ぽりぽり音がするんですが。
  • 大家それは、しっぽのほうを切ったからだ。
  • (沢庵をかじる音を、口で小気味よく入れる)

お茶けで酔う

  • 大家ほら、もっと陽気に。酔ったところを見せとくれ。
  • 店子へい……ああ、酔った酔った。どうも、番茶で酔ったのは生まれて初めてだ。

特定の落語家の口演を書き起こしたものではありません。筋とサゲは古典のまま、セリフは当サイトで書き下ろしています。

主な演者

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