演目一覧 / 滑稽噺・廓噺
「品川心中」の一場面のイラスト

品川心中

しながわしんじゅう

盛りを過ぎた品川の女郎お染は、紋日の支度金が作れない。恥をかくより死んで浮名を残そうと、ぼんやりした貸本屋の金蔵を心中の相手に選びます。海へ突き落としたところで、金の都合がついてしまい……。

分類
滑稽噺・廓噺
系統
江戸
舞台
東海道の宿場、品川の遊郭
構成
上・下の二部。ふだんは上だけが演じられる
ゆかり
映画『幕末太陽傳』(1957)の下敷きのひとつ
カテゴリ滑稽噺廓噺
登場人物女郎のお染貸本屋の金蔵親分
舞台品川の遊郭品川の海
見どころ心中のドタバタ博打場の大騒ぎ

あらすじ 上

品川の板頭(いちばんの売れっ子)だったお染も、年とともに客が減りました。紋日の移り替え(衣替え)にかかる金が工面できず、同輩に笑われるくらいなら死んでしまおうと思い詰めます。

どうせ死ぬなら、ひとりより心中のほうが浮名が立つ。なじみ客を物色して選んだのが、貸本屋の金蔵。頼まれるとすぐその気になる、のんきな男です。

夜更けの桟橋。ぐずぐずためらう金蔵を、お染はどんと海へ突き落とします。自分も続こうとしたその時、店の若い衆が「金ができた」と止めに来ました。お染は「それじゃ、また」と、さっさと店へ帰ってしまいます。

品川の海は遠浅で、金蔵は膝ほどの水から這い上がり、ずぶぬれのまま親分の家へ。ちょうど博打の最中で、手入れと勘違いした連中が大騒ぎになります。演者の多くは、ここで上を切ります。

サゲ 結末を含みます

タップしてサゲを見る

「お前があんまり客を釣るから、比丘尼にされたんだ」

めったに演じられない下のサゲです。だまされたと知った金蔵は、親分と組んで幽霊のふりで仕返しをし、お染は髪を切られて坊主頭に。魚を入れる「魚籠(びく)に」と、尼さんの「比丘尼(びくに)」をかけた地口で終わります。

上と下

下は仕返しの話で長く、サゲも地口なので、今は上だけで切るのがふつうです。通しで聴ける機会は多くありません。

上下
中身心中騒ぎから、金蔵が博打場に転がり込む大騒ぎまで金蔵と親分が、幽霊を装ってお染に仕返しする
聴ける機会寄席や落語会でよくかかる通しで演じる演者は少ない
終わり方博打場の騒ぎなどで切る「比丘尼」の地口でサゲ

名場面のセリフ 当サイトの書き下ろし

心中の相談

  • お染ねえ金さん、あたしと一緒に死んでおくれでないかい。
  • 金蔵へえ、死ぬ……。死ぬってのは、あの、息が止まるほうのかい。
  • お染ほかにどんな死に方があるんだい。

夜の桟橋

  • お染いいかい、一、二の三で飛ぶんだよ。
  • 金蔵待っとくれ、まだ心の支度が……うわっ。
  • (背中をどんと押す。水しぶきの音を、扇子で畳を打って見せる)
  • 若い衆姐さん、お金ができました!
  • お染あら、そうかい。金さん、悪いけど……それじゃ、また。

遠浅の海

  • 金蔵……なんでえ、品川の海は膝までしかねえじゃねえか。

特定の落語家の口演を書き起こしたものではありません。筋とサゲは古典のまま、セリフは当サイトで書き下ろしています。

主な演者

他の噺

寄席で生の高座を聴く東京・関西ほか全国の寄席ガイド →