演目一覧 / 滑稽噺
「湯屋番」の一場面のイラスト

湯屋番

ゆやばん

吉原通いが過ぎて勘当された若旦那は、出入りの棟梁の家で居候の身です。奉公に出ろと言われて選んだのが、女湯が見える湯屋の番台でした。ところが女湯は空っぽで、若旦那の妄想ばかりがふくらんでいきます。

分類
滑稽噺
系統
江戸
別題
『桜風呂』(明治期に初代三遊亭圓遊が改作したときの題)
舞台
町の湯屋(銭湯)の番台
ゆかり
4代目柳家小さんは『帝国浴場』に改作した
カテゴリ滑稽噺
登場人物勘当された若旦那大工の棟梁・熊五郎湯屋の主人男湯の客たち
舞台棟梁の家の二階湯屋の番台
見どころ番台でのひとり芝居妄想をのぞき見る客たち

あらすじ

若旦那は吉原に入れあげて勘当され、出入りの大工、熊五郎の家の二階でごろごろしています。困った棟梁が奉公を勧めると、若旦那は湯屋で働きたいと言い出し、紹介状を書いてもらって湯屋へ出かけます。

湯屋の主人が勧めるのは、燃し木にする木屑拾いや煙突の掃除です。若旦那はそれを断り、なんとか番台に座らせてもらいます。お目当ては、もちろん女湯です。

ところが女湯には客がひとりもいません。若旦那はがっかりするどころか、女湯に来た客が自分に惚れるという筋書きを思い描き、声色を使い分けながらひとり芝居を始めます。

番台の様子がおかしいと、男湯の客たちが集まってきます。見物されているとも知らず、芝居はどんどん大げさに。とうとう客のひとりが、帰るから下駄を出せと怒鳴りますが、その客の下駄が見当たらず……。

サゲ 結末を含みます

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「順ぐりに履かせて、一番おしまいは裸足で帰しますから」

下駄がないと言われた若旦那は、そこにある高そうな下駄を履いていけと平然とすすめます。ほかの客が困るだろうと言われての返事がこれで、しわ寄せを最後のひとりに回しただけなのがおかしみです。ほかにも、隠した湯銭を見つかって「お払いは先方の女がします」と返すもの、妄想の独り言を聞いた主人の「軽石で顔をこすってるんだ」で終わるものなど、サゲは演者によっていろいろあります。

サゲと湯屋の屋号

古くからある噺で、明治以降も改作が重ねられてきました。サゲや湯屋の屋号は、一門や演者によって違います。

内容
下駄のサゲ順ぐりに履かせて、最後の客は裸足で帰す
湯銭のサゲ隠した湯銭を主人に見つかり「お払いは先方の女がします」
主人のサゲ妄想の独り言を聞いた主人が「軽石で顔をこすってるんだ」
湯屋の屋号三遊派は「桜湯」、柳派は「奴湯」を使う
改作初代三遊亭圓遊の『桜風呂』、4代目柳家小さんの『帝国浴場』

名場面のセリフ 当サイトの書き下ろし

湯屋がいい

  • 棟梁若旦那、遊んでばかりいねえで、どこか奉公に出ちゃどうです。
  • 若旦那それなら湯屋がいいね。番台に座って、世の中を上から眺める商売だ。
  • 棟梁眺めたいのは女湯だけでしょう。

番台のひとり芝居

  • 若旦那……おや、あちらのご婦人が、こっちを見てにっこり。いやいや、困りますよ、あたしは番台の者ですから。
  • (女の声色に変え、手ぬぐいで口元を隠してしなをつくる)
  • 若旦那「あなた、今度うちへ寄ってくださいな」……ええ、寄りますとも。
  • 客おい見ろよ、番台がひとりで笑ってるぜ。

下駄がない

  • 客おれは帰るんだ。下駄はどこだ。
  • 若旦那見当たらないなら、そっちの高そうなのをお履きなさい。

特定の落語家の口演を書き起こしたものではありません。筋とサゲは古典のまま、セリフは当サイトで書き下ろしています。

主な演者

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