演目一覧 / 滑稽噺・廓噺
「明烏」の一場面のイラスト

明烏

あけがらす

本ばかり読んでいる堅物の若旦那・時次郎。心配した父親は、町内の遊び人ふたりに息子を吉原へ連れ出してくれと頼みます。お稲荷さんへのお籠りだとだまされて連れて行かれた若旦那は、泣いて帰ろうとしますが、翌朝には……。

分類
滑稽噺・廓噺
系統
江戸
由来
新内『明烏夢泡雪』や人情本『明烏後正夢』の発端を一席にまとめたもの
舞台
日向屋から吉原へ
ゆかり
八代目桂文楽が練り上げた十八番
カテゴリ滑稽噺廓噺
登場人物日向屋の若旦那・時次郎遊び人の源兵衛と多助花魁の浦里
舞台日向屋吉原の茶屋と見世
見どころうぶな若旦那の泣き顔翌朝の立場の逆転甘納豆を食べるしぐさ

あらすじ

日向屋半兵衛のせがれ時次郎は、年ごろになっても本と算盤ばかり。若いころに遊んだ父親は、これでは商人として世間が渡れないと心配し、町内の遊び人、源兵衛と多助に息子を吉原へ連れて行ってほしいと頼みます。

ふたりは「浅草の観音様の裏に霊験あらたかなお稲荷さんがある、お籠りに行きましょう」と若旦那を誘い出します。茶屋をお巫女さんの家、見世を神主の屋敷だと言いくるめますが、さすがに途中で気づかれてしまいます。

若旦那は泣き出して帰ると言い張ります。ふたりは「三人で入って一人で出ると、大門で怪しまれて止められる」とおどかして引き止め、店いちばんの花魁、浦里の部屋へ若旦那を押し込みます。

翌朝、自分たちは振られて機嫌の悪い源兵衛と多助が、若旦那を迎えに行きます。ところが若旦那は布団から出てこようとせず、花魁も若旦那を放そうとしません。しびれを切らしたふたりが「先に帰りますよ」と言うと……。

サゲ 結末を含みます

タップしてサゲを見る

「帰れるものなら帰ってごらんなさい。大門で止められます」

前の晩にふたりがついた嘘を、若旦那がそのまま言い返すサゲです。うぶだった若旦那がひと晩ですっかり変わったことが、この一言でわかる仕掛けです。

三人の男

噺の面白さは、前の晩と翌朝で三人の立場がひっくり返るところにあります。演者は人物の演じ分けで、この落差を見せます。

前の晩翌朝
時次郎だまされたと知って泣き出す布団から出ず、帰ろうとしない
源兵衛若旦那をなだめすかして連れ込む振られてふてくされる
多助源兵衛と組んで若旦那をおどかす甘納豆をつまみながら不機嫌

名場面のセリフ 当サイトの書き下ろし

お稲荷さんへ

  • 源兵衛若旦那、あちらがお巫女さんのお宅で。ちょいと寄って、お参りの支度をいたしましょう。
  • 時次郎お巫女さんのお宅にしては、ずいぶんにぎやかですね。三味線の音まで聞こえます。
  • 多助へえ、近ごろのお稲荷さんは、たいそう陽気なんでございます。

泣き出す若旦那

  • 時次郎ここは吉原じゃありませんか。わたしは帰ります。
  • 源兵衛お待ちなさい。三人で来て一人で帰ったら、大門で番人に止められますよ。
  • 時次郎そんな決まりがあるんですか……。どうしましょう。
  • (袖で顔をおおって、子どものように泣いてみせる)

翌朝の甘納豆

  • 多助ゆうべは散々だ。おい、この甘納豆、もらうよ。
  • (甘納豆をひと粒ずつつまんで口へ放り込み、仏頂面で噛む)
  • 源兵衛それより若旦那だ。さあ若旦那、もう帰りますよ。
  • 時次郎……花魁が、まだ放してくれないんです。

特定の落語家の口演を書き起こしたものではありません。筋とサゲは古典のまま、セリフは当サイトで書き下ろしています。

主な演者

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